第49話   ニガダケでまたまた遊び竿づくり @   平成29年06月05日 

昨年の12月の始め頃だったか、雪の降らぬ日を選んで短いが堅目の竹を数本採って来た。この四〜五年竿造りは休んでいたのだが、何故か無性に竿を作りたくなってきたからであった。加茂の元館長は、新水族館に展示する為の庄内竿数本を作ってから、作る意欲が失せてしまったのか竿造りをピタッと止めてしまった。その頃自分も歳のせいなのか、作りたいと云う意欲がまったくと云う程に湧いてこなかった。特に二つ違いの釣り好きの従兄弟が亡くなってからと云うもの釣行そのものも少なくなってきた。
それでも竿にする為の竹は採らなくとも穂先にする為のウラ(穂先用の竹)だけは毎年20本くらいは採って来ていた。それは穂先用のウラと云うものは、竿に中々合わせるのが難しいから多ければ多いほど良いからである。手持ちのウラは、現在2300本くらいあるが、一本の竿に合わせられるのはその中の23本もあれば上出来である。節間の長さ、竹の太さ、竹の色などをすべて考慮しながら選ぶ。その為場合によっては、合わせられるウラが一本もないこともしばしばである。鶴岡の名人ともなると合わせるウラがなくて、20年を要したと云う話さえもあるほどなのだ。私の場合自家用の遊び竿であるから、そんなに神経質に考えてはいないのだが、それでも自分なりのこだわりがある。
 採って来た竹は、家に帰ると早めに枝を取り払い、そして袴を取ってから天気の良い日を選んで天日に乾かす。そして頃合いを見て根に近い曲りの部分を火にかけて矯正しておく。根に近い部分は特に固いので後からでは真っ直ぐに矯正し難い。その為、その作業を先にやっておくと後から楽だからである。